同局では送信所・中継局を放送局と称するが、「川崎幸送信所」でも通る。
川崎市幸区の多摩川北岸土手に置局し空中線は多摩沿線道路を跨いだ向かい側、川崎競馬場の調教用の馬場の南隣の河川敷に架設されている。
国土交通省の公有地にあるため柵で被われた範囲が狭く、アンテナを直下から観察可能な点で珍しい送信所である。
▼ 送信空中線 ▼
111m支線式円管柱(電気興業製)、指向性用に一つの支線に整合函を取り付けている。
指向性アンテナについて、日本では本局の様に支線を副導線(ダウンリード)として利用するダウンリード式が多い。この他に2本の塔(空中線)を建てて1つを給電、もう一方を無給電とする単給電方式(ラジオ関西(旧)岩屋送信所、熊本放送熊本放送所等)、それぞれに給電する双給電方式(ラジオ関西(現)東浦送信所)などがある。
支線の一部が土手沿いの局舎上の鉄塔から道路を跨いで延び、給電を兼ねる。河川敷に設置されているため大雨時には基部が冠水する程で、接地抵抗は非常に低い。
遠山景久(当時社長)が推進した1981年10月の増力50kW化と引き換えに、郵政省(現:総務省)の行政指導を受け指向性を更に強化させられた。越境受信者の多い東京方向の他、同一周波数を使用する新設局が予定されていた朝鮮半島方向にも実効放射電力(ERP)を下げさせられたが敷地形状の制約上支柱を新設することができず位相差給電する支線3本を傾斜したまま用いたため打ち上げ角が過大になり、10〜30kmの近距離に不感地帯が拡大。
夜間にはフェージングが生じるなど増力に反して聴取難が激しくなり、営業面にも悪影響が及んだ。